アイ・クリエイツレポート #7
主催 毎日新聞社 日時 平成14年5月11日(土曜日) 会場 毎日新聞東京本社地下毎日ホール
毎日新聞社ユニバーサロン主催のUDモバイルホン体験会に行ってきました。体験会では、携帯電話の画面表示を点字や音声に変換する視覚障害者用の端末など、モバイル関連の最新支援技術の紹介が行われ100人位の人が参加していました。 なお、体験会については、毎日新聞社のユニバーサロン(毎日ホールでUDモバイルホン体験会)でもレポートされていますので、写真はそちらでご覧ください。
- 作文コンクール表彰式
- らくらくホン対応視覚障害者用音声携帯端末
- 点字携帯メール端末
- テレビカメラ付携帯電話による視覚障害者遠隔支援
- 視覚障害者用PDAソフト「DTalker MOBILE」
- 音声読書機「スピーチオ」
- まとめ
1.作文コンクール表彰式
最初に、「私が望むユニバーサル携帯電話」をテーマにした作文コンクールの表彰が行われました。発表された作品はどれもすばらしく、経験に基づく夢が、これからのユニバーサル携帯電話に望むこととして具体化されていました。また、視覚障害者が携帯電話によって外出が可能になった話など、視覚障害者にとって携帯電話が必需品となっていることも実感できました。
2.らくらくホン対応視覚障害者用音声携帯端末
これは、矢崎総業が「てんとう虫」という名前で発売を予定しているもので、点字キーボードを使って文字の入力ができ、端末内の情報出力は全て音声で確認することができるものです。らくらくホンUに接続して機能を広げるだけではなく、単体でメモの作成にも利用できそうでした。これまでの点字電子手帳に比べ、一回り以上小さく軽くできており、デザインも曲線を多用しソフトなイメージで4色そろった色もカラフルでした。また、USB端子がありパソコンとの連携も期待できそうです。
3.点字携帯メール端末
これもらくらくホンUに接続して、点字でメールのやり取りを行うための端末です。静岡県立大学の石川准教授とKGSが共同で、試作機の展示と説明をしていました。また、KGSのブレイルメモに、この端末と同様な機能をソフトウェアにより追加可能だということでした。
4.テレビカメラ付携帯電話による視覚障害者遠隔支援
これは新製品の紹介ではなくFOMAの活用事例で、遠隔支援により支援者がどこにいても支援可能となることを実証したものです。世界的な支援体制とテレビカメラ付携帯電話さえあれば、視覚障害者への支援が場所だけではなく時間帯をも超える可能性を持っています。そのためには、携帯電話の料金についても距離や時間を超越した料金設定が必要ではないかと思いました。
5.視覚障害者用PDAソフト「DTalker MOBILE」
WindowsCE対応のソフトウェアで、メモ帳、予定表、アドレス帳といった基本的なPDAソフトウェアを音声化することができるものです。ソフトウェアなので、自分に合ったPDAにインストールすることができます。なお、インストール済のPDAの発売も検討中のようです。
6.音声読書機「スピーチオ」
SPコードを読取り、音声出力する機械です。SPコードとは18o角の中に日本語で約800文字のテキストデータを記録できるものです。なお、Word文書作成時にSPコードを簡単に付加することができる専用ソフトが用意されています。そのため、一般の文書を手軽に視覚障害者向けの文書としても使用可能にできます。
また、点字プリンターに接続すれば点字に、パソコンに接続すればテキストにも出力可能で、音声読書機らしからぬポップで使いやすいデザインとなっています。
7.まとめ
今回の体験会は実際に製品(試作品)を手にとって操作したり説明を受けたりと、製品について知識を深めることや意見交換ができました。その中で気になったのが、モバイルホンの体験会にもかかわらず、電話網や電話機本体を提供する側の出席が少なかったことです。そのため、機器のインタフェースの公開や電話料金については質問があっても回答が得られず、利用者側の希望が述べられただけに終わりました。
提供する側もいろいろと事情があるとは思いますが、利用者の生の声を聞くためにも、このような会に積極的に参加する姿勢が必要ではないでしょうか。障害者用端末の開発のためにインタフェースを公開しているのが、ドコモの富士通製「らくらくホンU」だけという話でした。
司会が視覚障害者の岩下さんであったこともあり、熱の入った進行で時間をだいぶオーバーするほど盛り上がった会になっていました。また、懇親会でも和気あいあいとした雰囲気の中、積極的に意見交換が行われていました。そんな中、お店の雰囲気にとけ込んで本日のメニューを読みあげている「スピーチオ」がとても印象的でした。 (K)